痛みの場所からわかる腰痛の原因

腰の痛みの場所からさまざまな腰痛の原因が分かります

腰の右側が痛む(遊走腎・虫垂炎)

遊走腎

腎臓が10cmほど下垂します(X線で確認できます)。腎筋膜(ジェロタ筋膜)が弱いために下垂して、腰痛になることがあります。身体を起こしていると出現し、横になってしばらくすると全く無くなります。そして、肝臓との位置関係からなのか、右側に多くみられます。なりやすいタイプは、腹壁筋が弱く、やせて体脂肪が乏しい人です。腹筋、背筋、コルセットなどで内臓下垂を防ぐことにより、多少の予防にはなります。しかし、基本的に太ることが重要で、それ以外の治療法はありません。

虫垂炎

かなりのレアケースですが、虫垂炎でも右腰痛を感じる方がいらっしゃるようです。通常は、おへそまわりの強烈な痛みです。

腰の左側が痛む

内臓からの腰痛かもしれません

腎臓や、尿管結石による腰痛が考えられます。また、臓器の位置から言うと、膵臓(すいぞう)が原因となっている可能性もないわけではありません(体の中心に近い膵頭部が障害されやすいので、みぞおちから背中に突き抜けるような痛みが多いです)。

腰痛以外の症状と合わせて考える

内臓が原因となっている腰痛の場合、腰痛と供に現れる別の症状から推測できます。腎臓は、血液をろ過して尿を生成する器官です。また、血圧の調節や、ホルモンの分泌も行ないます。そのため腎臓の病気があると、症状は全身に拡がります。具体的には、発熱、疲労感、吐き気、嘔吐、むくみ、腫れ、頻尿や血尿などの排尿の問題が表れてきます。尿管結石の症状は、非常に激しいけいれん性の痛みです。

膵炎の特徴的な症状は、胸骨の下あたり(みぞおち)に起こる激痛です。この痛みは背中に突き抜けるので、腰痛と感じることがあるかもしれません。下腹部に痛みが起こることも、まれにあります。ほとんどの場合、吐き気や嘔吐を伴います。背筋を伸ばして座る、または前かがみの姿勢で、痛みが軽減することがあります。膵炎には、急性と慢性がありますが、どちらも最大のリスクはアルコールの乱用です。

膵臓癌は、末期にならないと症状としてあらわれてきません。初期症状としては、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)や、みぞおちの痛み、吐き気があります。また診断がついた時点では転移していることも多く、5年生存率は2%未満と予後は良くありません。

その他の詳しくは、病気に関連した腰痛を参照してください。

内臓の病気が心配になったら

長時間座り続けてじっとしているときは、姿勢を維持するために筋肉が常に使われていますので、同じ姿勢が長く続いたときの痛みは安静時痛ではありません。また、内臓からの症状は、その臓器に関わるタイミングで痛いことがあります。消化器系(食道・胃・十二指腸・小腸・大腸・肛門・胆のう・すい臓)では食事の前後や排便時での変化を、腎臓では排尿時にどうかといったことと合わせて考えるといいでしょう。お医者さんを受診するときも、こうしたことを正確に伝える方がスムーズに進みます。

夜間痛があるかどうかも、チェックしましょう。夜間痛は、夜寝ている間に痛みで目が覚めることを言います。ただし、寝返りをうとうとしたら痛かったというのは、動作時痛に入りますので、夜間痛とはいえません。発熱も、要注意です。感染症があれば、全身性の発熱があります。筋骨格系だけが原因の腰痛では、局所的に熱を持っても全身の発熱はみられません。

内臓の重篤な病気としては、癌があります。癌の警告シグナルも列挙しておきます。体重減少、疲労、夜間の発汗、食欲不振、これまで感じたことがない痛み、持続する痛み、吐き気や嘔吐の繰り返し、血尿、血便、突然のうつ状態、最近の排便変化(便秘や下痢)、発熱のくり返し、慢性的な咳、リンパ節の腫れ、等です。こうしたレッドフラッグと呼ばれる所見が見つかったら、すぐに病院へ行きましょう。血液検査やCT、MRIなどで確定診断が下されます。反対に、レッドフラッグ所見の除外ができれば、単純な筋骨格系の腰痛と考えられますので、まずは一安心といったところでしょうか。

レッドフラッグ所見が除外できたら

内臓からの腰痛ではないことが確認できたら、筋骨格系が原因の腰痛の可能性が高いと考えられます。筋骨格系の腰痛の特徴は、動作で痛みが出る(特定の方向に動かすと痛い)、同一姿勢が続くと痛い(座りっぱなし、立ちっぱなし、朝起きたとき)、横になっていると楽、痛みが軽くなる姿勢やタイミングがある、等です。その場合、左腰の腰痛の原因になるものは、関節から来る腰痛(仙腸関節性腰痛や椎間関節性腰痛)が左側に起こっている場合や、筋肉からくる腰痛(アンバランスによって負担が左側にかかっている)が考えられます。

8割の腰痛が原因不明と言われる整形外科でしっかりと診断がつくものには腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症等があります。MRIで、画像に所見が見られます(レントゲンでは骨しか写らないためヘルニアは見えません)。詳しくは、腰痛の種類のサイトを参照してください。

上記の腰痛が全て当てはまらない場合、心因性腰痛が考えられます。心療内科を受診してみてください。